運行管理者試験は運行管理者になる方法のひとつ
運行管理者試験とは、事業用自動車の運行の安全に関する実務経験がない方が運行管理者になる資格を得るための試験です。
公益財団法人 運行管理者試験センターが実施しています。1年に2回、8月頃と3月頃に実施されます。試験期間は約1カ月です。
運行管理者試験には、旅客と貨物の2種類があります。
運行管理者試験は貨物と旅客の2種類
運行管理者試験には、貨物自動車運送事業の試験(貨物)と旅客自動車運送事業の試験(旅客)の2種類があります。
貨物と旅客両方の資格を取ることはできますが、貨物と旅客を同時に受験することはできません。受験申請できるのは1種類のみです。
貨物・旅客のどちらを受けるのが良いかというと、需要は旅客よりも貨物の方が多い傾向があります。
運行管理者試験の出題分野
運行管理者試験は、貨物と旅客それぞれ、下に掲げる法令等(法令に基づく命令等を含みます)について行なわれます。
貨物自動車運送事業法(貨物)・道路運送法(旅客)
貨物では貨物自動車運送事業法、旅客では道路運送法に関する問題が出題されます。
道路運送車両法
業務で使用する車両の安全に関わる内容について出題されます。
道路交通法
道路交通法のなかでも、運行管理に関連する部分、特に飲酒運転や過労運転に関する基準について出題される場合が多いです。
労働基準法
労働基準法のうち、運転を伴う労働に関する内容、特に連続運転時間や休憩時間、拘束時間についての問題がよく出題されます。
運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
運行管理者としての業務に関する内容について出題されます。
貨物試験の分野毎の出題数
出題分野 | 出題数 | |
---|---|---|
(1) | 貨物自動車運送事業法関係 | 8 |
(2) | 道路運送車両法関係 | 4 |
(3) | 道路交通法関係 | 5 |
(4) | 労働基準法関係 | 6 |
(5) | その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 | 7 |
合計 | 30 |
旅客試験の分野毎の出題数
出題分野 | 出題数 | |
---|---|---|
(1) | 道路運送法関係 | 8 |
(2) | 道路運送車両法関係 | 4 |
(3) | 道路交通法関係 | 5 |
(4) | 労働基準法関係 | 6 |
(5) | その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 | 7 |
合計 | 30 |
法令等の改正に関する注意事項
法令等の改正があった場合は、法令等の改正施行後6カ月は改正部分を問う問題は出題されません。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の改正について
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の改正が2024年(令和6年)4月1日から施行されました。
この改正に関係する運行管理者試験の問題について、運行管理者試験センターから下記の発表がされています。
令和6年度第1回運行管理者試験は、改正後の改善基準告示をもとに出題します。
(運行管理者試験センター『「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の改正(令和6年4月1日施行)に伴う運行管理者試験問題の出題について』より)
(参考:運行管理者試験センター『自動車運転者の労働時間等の改善基準告示に係る今後の出題方針について』)
運行管理者試験の合格基準(合格点)
運行管理者試験の合格基準(合格点)は貨物・旅客共に、次の①及び②を同時に満たす得点が必要です。
- ① 原則として、総得点が満点の60%(30問中18問)以上であること。
- ② 上表の(1)~(4)の出題分野ごとに正解が1問以上であり、(5)については正解が2問以上であること。
運行管理者試験の合格率
直近5回の合格率は、下表のとおりです。
貨物
試験実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度(令和5年度)第2回 | 22,493人 | 7,701人 | 34.2% |
2023年度(令和5年度)第1回 | 26,293人 | 8,805人 | 33.5% |
2022年度(令和4年度)第2回 | 23,759人 | 8,209人 | 34.6% |
2022年度(令和4年度)第1回 | 28,804人 | 11,051人 | 38.4% |
2021年度(令和3年度)第2回 | 27,982人 | 9,028人 | 32.3% |
旅客
試験実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度(令和5年度)第2回 | 5,434人 | 1,984人 | 36.5% |
2023年度(令和5年度)第1回 | 5,158人 | 1,780人 | 34.5% |
2022年度(令和4年度)第2回 | 4,675人 | 1,651人 | 35.3% |
2022年度(令和4年度)第1回 | 5,403人 | 2,167人 | 40.1% |
2021年度(令和3年度)第2回 | 5,787人 | 1,999人 | 34.5% |
さらに過去の合格率についてはこちらをご覧ください。
> 『運行管理者試験の合格率は?』
運行管理者試験を受験するための資格
運行管理者試験は誰でも受けられるというわけではありません。
運行管理者試験を受験するには、次のいずれかに該当することが必要です。
1. 実務経験1年以上
2. 基礎講習修了
3. 基礎講習修了予定
1.実務経験1年以上
試験日の前日において、次のいずれかの運行の管理に関し、1年以上の実務の経験を有する方。
- 自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の用に供する事業用自動車
- 特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)
2.基礎講習修了
国土交通大臣が認定する講習実施機関において、平成7年4月1日以降の貨物、旅客の試験の種類に応じた基礎講習を修了した方。
①貨物自動車運送事業輸送安全規則(「安全規則」と言います。)に基づき国土交通大臣から認定された講習実施機関で基礎講習を受講された方は、貨物試験の受験資格を得ます。
②旅客自動車運送事業運輸規則(「運輸規則」と言います。)に基づき国土交通大臣から認定された講習実施機関で基礎講習を受講された方は、旅客試験の受験資格を得ます。
3.基礎講習修了予定
国土交通大臣が認定する講習実施機関において、貨物、旅客の試験の種類に応じた基礎講習を受講予定の方(指定の期日までに基礎講習を修了予定の方)。
- 運行管理者試験の受験申請と基礎講習の受講申込みは別々の手続きが必要です。運行管理者試験の受験申請される方は、事前に国土交通大臣が認定する講習実施機関で基礎講習の申込みを完了してから受験申請してください。
- 貨物、旅客の試験の種類に応じた基礎講習を修了し、試験事務センターに修了証書の写し又は運行管理者講習手帳の写しを提出した段階で受験資格を満たすこととなります。
- 基礎講習が修了できなかった方、および試験の種類に応じた基礎講習の修了証書の写し又は運行管理者講習手帳の写しが指定の期日までに未提出の方は受験できません。
運行管理者試験の受験に必要な書類
受験申請の方法と受験資格により必要な書類は異なります。
新規受験申請で必要な書類
実務経験1年以上
- 実務経験承認者に関する情報
「氏名」「勤務先名」「役職名」「電話番号」「メールアドレス」
※実務経験承認者から実務経験を承認するメールを送信してもらうため - 本人確認用書類(運転免許証、住民票、マイナンバーカードのいずれか1種類)
※マイナンバーの記載がある場合は、該当箇所を切り取るか、塗りつぶしてください。 - 顔写真(正面、帽子/サングラス/マスクなし、上三分身の6カ月以内に撮影されたもの)
基礎講習修了または修了予定
- 基礎講習修了証または運行管理者講習手帳(試験の種類に応じたもの)
- 本人確認用書類(運転免許証、住民票、マイナンバーカードのいずれか1種類)
※マイナンバーの記載がある場合は、該当箇所を切り取るか、塗りつぶしてください。 - 顔写真(正面、帽子/サングラス/マスクなし、上三分身の6カ月以内に撮影されたもの)
再受験申請で必要な書類
- 顔写真(正面、帽子/サングラス/マスクなし、上三分身の6カ月以内に撮影されたもの)
運行管理者試験に合格するには
運行管理者試験は年々難易度がアップしてきています。合格点を取るには、しっかりと勉強する必要があります。一夜漬けの勉強で合格することは難しいと言えます。
ですが、めちゃくちゃ難しいというわけでもありません。独学でも十分合格することはできます。
早目に試験対策に取り掛かることをお勧めします。
こちら(↓)のページでは、運行管理者試験に合格するための勉強方法やテキスト&問題集について、私自身の経験を踏まえてお伝えしています。よろしければ、ご参考にしてください。
> 『運行管理者試験に合格するための勉強方法』
次回の運行管理者試験(2024年度(令和6年度)第2回)についてはこちらをご覧ください。
> 運行管理者試験 – 2024年度(令和6年度)第2回
運行管理者試験について詳しく知りたい方は、運行管理者試験センターのホームページをご覧ください。