「運行・労務管理システム導入補助金」について、実務的な視点と導入メリットを交えながら、わかりやすくまとめました。
この補助金は、国土交通省の「中小物流事業者の労働生産性向上事業」の「業務効率化事業」の一部で、全日本トラック協会が執行します。
運行管理・労務管理にお悩みの運送会社の経営者の方のご参考にしていただけましたら幸いです。
運行・労務管理システム導入に補助金が出ます
〜法令対応・業務効率化・働き方改革を支援〜
2024年度補正予算により、国土交通省の支援事業として「運行・労務管理システム」の導入に対する補助金制度が始まっています。これは、ドライバーの運行状況や労働時間を適切に管理するためのシステムを導入する中小運送事業者に対して、費用の一部を国が負担する制度です。
この制度は、単なる「機器導入支援」ではなく、運送業の働き方改革と安全管理を後押しする実務的な支援策です。導入を検討される場合は、システム選定と申請準備を早めに進めることをおすすめします。
申請受付期間:2025年7月28日(月)〜9月30日(火)
※先着順で予算枠に達し次第終了
この制度の目的
- ドライバーの労働時間や休憩時間を正確に把握し、法令遵守を支援
- 点呼や運行記録の自動化による事務負担の軽減
- 働き方改革への対応(2024年問題など)
- 労務管理の「見える化」による安全性・信頼性の向上
対象となる事業者
以下の条件をすべて満たす中小運送事業者が対象です:
- 資本金3億円以下または従業員300人以下
- 緑ナンバーの事業用トラックを5台以上保有
- 一般貨物・特定貨物・第二種貨物利用運送事業者のいずれか
- 以下のいずれかの取り組みを行っていること
- 「ホワイト物流」推進運動の自主行動宣言
- 「働きやすい職場認証制度」の認証取得
- 「パートナーシップ構築宣言」の登録
※リース会社による申請も可能ですが、導入先の運送事業者が上記の条件を満たしている必要があります。
補助対象となるシステム
「運行・労務管理システム」とは、以下のような機能を持つものです。
- ドライバーの出退勤・点呼記録の自動化(例:顔認証、ICカード)
- 運転時間・休憩時間・拘束時間の記録と集計
- 労働基準法や改善基準告示に対応した管理機能
- クラウド型または専用ソフトで運用可能なもの
※スマートフォンやパソコン本体などの汎用機器は補助対象外です
※月額利用料は対象外ですが、導入時の初期費用(システム本体・設定費など)は対象です
補助金の内容
- 補助率:導入費の1/2(消費税・工賃は除く)
- 補助上限額:1事業者あたり最大24万円
- 他の業務効率化システム(予約受付、契約書電子化など)との併用申請は可能ですが、同じ種類のシステムでの重複申請は不可
※車両動態管理システム(GPS・デジタコ)と同時導入する場合は、両方の補助を受けることができます(ただし、動態管理システム単独では申請不可)。
申請方法と受付期間
- 申請は郵送のみ(書留郵便またはレターパック)
- 受付期間:2025年7月28日(月)〜9月30日(火)まで(消印有効/10月3日必着)
提出書類(主なもの)
- 申請書(様式あり)
- 見積書・請求書・領収書の写し
- 納品書または販売証明書
- システムの機能がわかる資料(カタログなど)
- システムの設置・利用状態がわかる写真(画面表示など)
- 会社の事業報告書(資本金・従業員数がわかるもの)
- 各種認証・宣言の証明書(該当する場合)
※導入済みと導入予定で提出書類が異なります。導入前申請の場合は、交付決定後に契約・発注する必要があります。
注意点と実務上のポイント
- 補助対象は初期導入費のみ。月額料金や通信費は対象外
- 汎用機器(スマホ、PC本体など)は補助対象外
- 支払い方法は現金・振込・小切手のみ。手形や分割払いは不可
- 補助を受けたシステムは5年間の保有義務あり。途中で廃止・譲渡する場合は事前申請が必要
- 書類の不備や提出遅れは受付不可。虚偽申告には返還・加算金・公表処分の可能性あり
経営者へのおすすめポイント
- 法令対応(改善基準告示)をシステムで自動化できる
- 点呼・労務管理の記録が残ることで、監査対応がスムーズに
- ドライバーの働き方を見える化し、離職防止や採用にも好影響
- 補助金を活用すれば、初期導入のハードルが大きく下がる
詳細は「募集要領」でご確認ください。
「募集要領」は全日本トラック協会のホームページからをダウンロードできます。
> 全日本トラック協会