「車両動態管理システム導入補助金」について、制度の目的、導入メリット、補助内容、申請条件、注意点などを経営判断に役立つ視点でわかりやすくまとめました。
この補助金は、国土交通省の「中小物流事業者の労働生産性向上事業」の「業務効率化事業」の一部で、全日本トラック協会が執行します。
運行管理の効率化にお悩みの運送会社の経営者の方のご参考にしていただけましたら幸いです。
車両動態管理システム導入に補助が出ます
〜運行の見える化で業務効率・安全性・顧客対応を強化〜
物流業界では、2024年問題(働き方改革関連法の適用)や人手不足、荷主からの高いサービス要求など、経営環境が大きく変化しています。こうした中で注目されているのが「車両動態管理システム」の導入です。
このシステムは、トラックの位置や走行状況をリアルタイムで把握できるもので、配車の効率化、安全運転の支援、到着予定の精度向上など、複数の経営課題に同時に対応できます。
国土交通省の補助制度により、導入費用の一部が補助されるチャンスがあります。制度の執行は全日本トラック協会が行っています。
この制度は、単なるIT導入支援ではなく、運送業の経営基盤を強化するための戦略的な支援策です。業務改善と補助金活用を両立させることで、持続可能な運送経営への一歩となります。
導入の目的と経営メリット
車両動態管理システムの導入によって、以下のような経営効果が期待できます:
配車効率の向上
→ トラックの位置や稼働状況を把握でき、空車回送や待機時間を削減安全運転の支援
→ 急加速・急減速などの運転挙動を記録し、個別指導や教育に活用顧客対応力の強化
→ 到着予定の精度が上がり、荷主との信頼関係が向上法令遵守の補助
→ 運転時間や休憩状況の記録が可能になり、労務管理の補助にも経営の見える化
→ 運行状況をデータで把握でき、改善点の分析や報告がしやすくなる
補助制度の概要
この制度は、車両動態管理システムの導入にかかる初期費用の一部を国が補助するものです。概要は以下の通りです。
- 補助率:導入費の1/2(消費税・工賃は除く)
- 補助上限額:1事業者あたり最大24万円
- 対象費用:機器代、設定費、導入時の初期費用
- 対象外:月額利用料、通信費、スマホ・PCなどの汎用機器
運行・労務管理システムについては、こちらで説明しています。
> 運行・労務管理システム導入に補助が出ます(中小トラック運送業向け)
対象となる事業者の条件
以下の条件をすべて満たす中小運送事業者が対象です:
- 一般貨物・特定貨物・第二種貨物利用運送事業者
- 緑ナンバーの事業用トラックを5台以上保有
- 資本金3億円以下または従業員300人以下
- 以下のいずれかの取組みを実施していること
– 「ホワイト物流」推進運動への参加
– 「働きやすい職場認証制度」の認証取得
– 「パートナーシップ構築宣言」の登録
※リース会社による申請も可能ですが、導入先の運送事業者が上記条件を満たしている必要があります。
申請方法とスケジュール
- 申請期間:2025年7月28日(月)〜9月30日(火)まで(消印有効)
- 提出方法:郵送のみ(書留またはレターパック)
提出書類(主なもの)
- 申請書(様式あり)
- 見積書・請求書・領収書の写し
- 納品書または販売証明書
- システムの機能がわかる資料(カタログなど)
- システムの設置・利用状態がわかる写真(画面表示など)
- 会社の事業報告書(資本金・従業員数がわかるもの)
- 各種認証・宣言の証明書(該当する場合)
注意点と経営判断のポイント
- 補助対象は初期導入費のみ。ランニングコストは自己負担
- 補助を受けた機器は5年間の保有義務あり。途中廃止・譲渡には事前申請が必要
- 支払い方法は現金・振込・小切手のみ。手形・分割払いは不可
- 書類不備や提出遅れは受付不可。虚偽申告には返還・加算金・公表処分の可能性あり
導入を成功させるために
- 自社の運行管理課題を整理し、必要な機能を明確にする
- 他の業務効率化システムとの連携を前提に、補助対象となる構成を検討
- 導入後の運用体制(誰が管理するか、どう活用するか)を事前に設計
- 社内説明資料や運用マニュアルを整備し、現場との連携を強化
「車両動態管理システム導入補助金」についての詳細は「募集要領」でご確認ください。
「募集要領」は全日本トラック協会のホームページからをダウンロードできます。
> 全日本トラック協会