国土交通大臣への事故報告が、令和7年4月から貨物軽自動車運送事業者に義務化されました。
事故が発生した際の「事故報告」は、貨物軽自動車運送事業者にとって法令上も実務上も非常に重要な義務です。
軽貨物運送業における事故報告の概要
報告の種類と期限
事故報告には、「通常の事故報告」と「事故の速報」の2種類があります。
死者や重傷者を生じた事故、酒気帯び運転を伴う事故、健康に起因した事故の場合、24時間以内に速報が必要です。
報告の種類 | 報告期限 | 主な報告方法 |
---|---|---|
通常の事故報告 | 事故発生日から30日以内 | 郵送・対面(将来的に電子届出の予定あり) |
事故の速報 | 24時間以内にできるだけ速やかに | ・電話などを利用して迅速に報告 ・詳細が判明次第、続報を提出 |
報告義務者
- 貨物軽自動車運送事業者
報告先
- 管轄の運輸支局、運輸監理部、または陸運事務所
報告内容
報告の種類 | 報告内容 |
---|---|
通常の事故報告 | 所定の様式を使用し、事故の概要・原因・再発防止策などを記載 |
事故の速報 | 事故の概要 |
通常の事故報告の対象となる事故の例
以下のような事故は30日以内の報告が求められます。
- 自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又は鉄道車両と衝突し、若しくは接触したもの
- 自動車に積載された軽油や火薬等の全部若しくは一部が飛散し、又は漏えいしたもの
- 死者又は重傷者を生じたもの
- 10人以上の負傷者を生じたもの
- 酒気帯び運転、無免許運転又は麻薬等運転を伴うもの
- 運転者又は特定自動運行保安員の疾病により、事業用自動車の運行を継続することができなくなったもの
- 10台以上の自動車の衝突又は接触を生じたもの
- 救護義務違反があったもの
- 自動車の装置の故障により、自動車が運行できなくなったもの
- 自動車事故の発生の防止を図るために国土交通大臣が特に必要と認めて報告を指示したもの
速報対象となる重大事故の例
以下のような事故は24時間以内の速報が求められます。
- 自動車に積載された軽油や火薬等の全部若しくは一部が飛散し、又は漏えいしたもの
(自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又は鉄道車両、自動車その他の物件と衝突し、若しくは接触したことにより生じたものに限る。) - 2人以上の死者を生じたもの
- 5人以上の重傷者を生じたもの
- 10人以上の負傷者を生じたもの
- 酒気帯び運転を伴うもの
- 脳疾患、心臓疾患及び意識喪失に起因すると思われるもの
実務上のポイント
- 事故が起きたらすぐに記録→報告の準備を開始
- 再発防止策は具体的に記載(例:「注意する」ではなく「交差点進入前に一時停止を義務化」など)
- 故記録と事故報告は別物:記録は社内で保存、報告は行政に提出