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貨物自動車運送事業法の改正(2019年)について

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トラックドライバーの労働条件の改善を目的として、貨物自動車運送事業法、貨物自動車運送事業法施行規則、貨物自動車運送事業輸送安全規則等の改正が行なわれました。

貨物自動車運送事業法改正の概要

貨物自動車運送事業法改正の概要は、以下のとおりです。

1.規制の適正化

① 欠格期間の延長等
法令に違反した者等の参入が厳格化されました。
・欠格期間の延長(2年⇒5年)
・処分逃れのため自主廃業を行った者の参入制限
・密接関係者(親会社等)が許可の取消処分を受けた者の参入制限 等

法令に違反して事業許可を取り消されたり、処分から逃れるために自主廃業したりした場合などで、新たに事業許可を受けることができるようになるまでの年数が長くなりました。

法令違反者の処分逃れ等を排除するための欠格事由が追加されました。

②事業計画の変更
・車両台数の増・減車等

車両台数に関わる事業計画を変更する時には、事前届出または認可を受けなければなりません。
一定の要件にあてはまる車両の増・減車については、事前届出から認可が必要になりました。

③許可の際の基準の明確化
以下について、適切な計画・能力を有する旨が要件として明確化されました。
・安全性確保(車両の点検・整備の確実な実施等)
・事業の継続遂行のための計画(十分な広さの車庫等)
・事業の継続遂行のための経済的基礎(資金) 等

トラックの点検や整備によって安全性を確保し、十分な広さの車庫や資金を備えなければいけません。

④約款の認可基準の明確化
荷待時間、追加的な附帯業務等の見える化を図り、対価を伴わない役務の発生を防ぐために基準が明確化されました。
→ 原則として運賃と料金とを分別して収受しなければなりません。
「運賃」:運送の対価
「料金」:運送以外のサービス等

本来の運送業務とは別に、客先での荷待ちや追加的な作業がどのくらい発生しているのか見える化し、待機時間料、積込・取卸料などの料金をしっかり受け取れるようにしなければいけません。

2.事業者が遵守すべき事項の明確化

① 輸送の安全に係る義務の明確化
事業用自動車(トラック)の定期的な点検・整備の実施等

トラックの点検や整備をしっかりと定期的に行なわなければいけません。

② 事業の適確な遂行のための遵守義務の新設
・車庫の整備・管理
・健康保険法等により納付義務を負う保険料等の納付

車庫をしっかり整備して、健康保険料などは法令に従って納付しなければいけません。

十分な規模の自動車車庫を有すること、社会保険等の保険料を納付していること、十分な損害賠償の支払能力を有することが法令上義務化されました。

3.荷主対策の深度化

※ 「荷主」には元請事業者も含まれます。

① 荷主の配慮義務の新設
トラック事業者が法令遵守できるよう、荷主も必要な配慮をすることが義務づけられました。

② 荷主勧告制度(既存)の強化
・制度の対象に、貨物軽自動車運送事業者が追加されました。
・荷主勧告を行った場合には、当該荷主の公表を行う旨が明記されました。

トラック事業者(軽自動車を使う事業者も含みます)が法令違反をして、荷主にも原因がある場合には荷主名も公表され、法令違反行為を犯さずに済むよう荷主と交渉しやすくなりました。

③ 国土交通大臣による荷主への働きかけ等の規定の新設
(令和5年度末までの時限措置)

卜ラック事業者が法令を守って仕事ができるよう、荷主も必要な配慮をすることが義務化されるとともに、トラックドライバーの働き方改革・法令遵守と労働条件の改善が進められるよう、国土交通大臣が荷主へ働きかけられるようになりました

荷主の行為に独占禁止法違反の疑いがある場合、公正取引委員会への通知がされることがあります。

4.標準的な運賃の告示制度の導入

①標準的な運賃の告示制度の導入

労働条件の改善・事業の健全な運営の確保のため、国土交通大臣が標準的な運賃を定め、告示できるようになりました。